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犬の病気(腫瘍:口腔内悪性メラノーマ)

このわんちゃんは、昨年春、うちの子がおたふく風邪になったかも、、、と来院しました。

口を開けると、アワビみたいな大きなしこりが存在し、大人しいワンちゃんだったので、細胞診を行いました。黒い色素を持つ大きさがバラバラの細胞の塊を確認し、メラノーマの疑いがあるので、顎のリンパ節、胸部、腹部の精密検査を行いました。

メラノーマとは、メラニン色素を持つ細胞が悪性腫瘍になることです。進行が早く、転移率も高いです。毛が少ない場所(口、爪、耳等)は進行が早く、毛が生えているところ(皮膚)での発生は進行が遅めではあります。

このワンちゃんは、ステージ3のメラノーマと診断しました。顎のリンパ節、肺転移がないので、唇、頬、上顎歯肉ごとしこりをかなり大きく摘出する手術をしました。病理検査結果は、メラノーマ(マージンー,脈管内浸潤+)でしたので、再発、転移予防の為、化学療法を選択されました。化学療法術後2ヶ月で、再発無く、遠隔転移(肺等他の臓器)無く、小豆大に腫れた右下顎リンパ節の転移を確認しました。

そのまま続けて化学療法と、転移したリンパ節には温熱療法(ハイパーサーミア)を行いました。リンパ節が大きくなると、食事が食べにくいとか 生活に支障が出るからです。

温熱療法(ハイパーサーミア)とは?

がん細胞の42℃で死滅する性質を利用して、がんに直接、熱を集めるICG(抗がん剤も10分の1入り)という薬剤を注入して、光線温熱療法治療器の高出力赤外線を当てる治療法です。

3年前から当院で取り組んでますが、手術困難な悪性腫瘍、特にメラノーマ、猫のワクチン誘発性肉腫、炎症性乳癌等々、、術後の再発防止には効果を示す症例も複数います。

この子はこの1年半、進行がほとんどなく、リンパ節がビー玉大にはなりましたが、食欲もあり、胴輪がきつくなりました。7kgから8.5kgに。

このワンちゃんと同じ時期に 口のメラノーマに罹ったヨークシャテリア、ラブラドール、別のビーグルさんも同じ治療を施しましたが、皆1年以上再発無くすごく食欲がありましたが、別の病気でお亡くなりになりました。

現在、メラノーマの治療法には、手術、化学療法、放射線治療、免疫療法、温熱療法等があります。あと、アメリカではメラノーマのDNAワクチンも認可がおりて使用されています。

近い将来メラノーマの根治率が高くなる日がくることに期待したいですね。治療費もリーズナブルになってほしいですね。

20年前には考えられないことでした。

 

 

「獣医腫瘍科認定医2種 」の資格が、学会の出席の日数不足で、この度消失しました。

獣医腫瘍科認定医2種(腫瘍診療のための専門知識および一般臨床知識を有する者。)は、学会を(1時間講義×8回)出席して受験資格をもち、大部分がマークシートの試験を1回うけて獣医腫瘍科認定医2種になります。(基本的な腫瘍の知識の問題で、実技がない試験です。)

私が2002年に合格した時は50人前後しかいませんでしたが、最近、2種認定医が400人近くに多くなり、あまり珍しい感じがしません。

 

獣医腫瘍科認定医1種(腫瘍診療の専門知識および一般臨床知識を有し、且つ実践的に診断・治療を行う能力を備える者。)は1次試験と2次試験を合格すると資格を有します。1次試験は実際の腫瘍症例の診断、治療等を記述式で回答し、2次試験は3人の試験官による質疑応答での試験で、これが1番の難関です。私は、1次試験は合格しましたが、2次試験の当日に、インフルエンザに罹り、欠席しました。その後、福井に転居し、1種の試験を受けないまま過ぎてしまいました。2次試験は難関なので、出席していても合格していたかは、、、ですね。

認定医1種の1次試験は記述式で実際の写真などから、前立腺癌の診断と、実際の胸部レントゲンの異常所見を挙げていくことなどなど、でした。確か、、。