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断脚せず良好なQOLを保った繊維肉腫のネコ2例

ネコの繊維肉腫は、時々見かける病気です。

今回、腹部から後肢にかけて巨大な繊維肉腫ができた2頭のネコちゃんを紹介いたします。

 

約2年前、18歳の♂ネコちゃんがお尻から左後ろ足にかけて大きくなっているとのことで受診されました。身体検査で、25~30cm大の腫瘤を確認しました。腫瘤は肛門、尿道に固着していましたが、排便、排尿に問題はありません。腫瘤は大きく、これ以上増大した場合、破ける(自壊)可能性もあります。所属リンパ節、肺などの臓器への遠隔転移は認められませんでした。

細胞診検査で紡錘系細胞が数多く顕微鏡で確認され、肉腫の疑いがあるので、診察翌日に手術いたしました。

腫瘤は肛門、尿道に固着していて、骨盤骨の一部(寛骨)にも固着していたので、骨も一部摘出いたしました。

摘出した腫瘤は繊維肉腫(ワクチン誘発性の可能性も)でした。

マージンは骨盤側は一部不明、他は(-)でした。

術後、定期的にハイパーサーミア(温熱療法)を行い、腫瘍再発防止を行っています。

術後1年9ヶ月の現在、再発転移はなく、歩行にも問題なく、今年20才を迎えます。😊

タンポポさん。

 

 

 

2021年4月から、足に腫瘤を発見し、7月まで複数の病院をセカンドオピニオンで受診し、切除不能、姑息的に断脚を勧められたとのことでした。飼い主様が急速に大きくなる腫瘍をみて、当院に受診されました。10歳の雌メインクーンの子です。

身体検査で、右大腿部~腹部かけて20~25cmの腫瘤を確認、腫瘤は腹壁筋肉、大腿筋肉の一部に固着していました。

遠隔転移所見はありません。

細胞診で紡錘系細胞を確認、肉腫疑いで、2日後に摘出手術を行いました。断脚では、万が一、腹部に腫瘍の取り残しがあった場合、再発した時、QOLが保たれないことがあります。腫瘤の腹壁側は腹直筋の一部を、右大腿側は大腿四頭筋の外側広筋の一部ごと一括で切除して、腫瘤を摘出しました。

腫瘤は繊維肉腫でした。(ワクチン誘発性の可能性も)マージンは一部不明、ほぼ(-)でした。

術中、術後から再発防止の為、温熱療法と化学療法を行いました。

術後半年の現在、再発もなく、体重も1㎏増加して元気です。

ネコの繊維肉腫は軟部肉腫の1種で 患部が著しく大きく進行し、手術した場合はその後 再発率が高い悪性腫瘍です。

今回のケースでは後足だけではなく腹部にも広範囲に腫瘍が確認できるので、断脚した場合は、腫瘤の完全切除ができず、すぐ再発する可能性があります。

治療法はマージン(とりしろ)を大きく、今回はマージンを確保するために、腫瘍を腹部、大腿部の筋肉ごと摘出し、術中から、温熱療法と化学療法を行い、良好な経過を得られています。体重もかなり増えています。飼い主様も安心されています。

足を温存できてよかったです。

歩行も問題なく、術後のQOLも良好です。

再発率が高い軟部肉腫(繊維肉腫はその一つ)は大きく外科切除することが一般的な方法です。足に発生して体幹にも固着している巨大な腫瘍は断脚という選択肢の場合、猫は3本歩行に支障はない動物ですが、再発した場合、猫ちゃんのQOL低下をもたらすのは明らかです。

術前に腫瘍に隣接する筋肉への浸潤を確認して手術範囲を決定することと、早期再発防止(温熱療法+化学療法)は今回のケースの治療としては有効と考えられます。

肉腫、甲状腺癌、肺癌、肝臓癌、腎臓癌等はどうしても、福井県外の二次診療施設(大学病院等)への紹介が多く、患者様が、診察予約まで、一カ月以上かかるケースが多く、進行が速い腫瘍などは、大学に受診した場合でも、治療が困難になっているケースもあるとの話も先日、複数の患者様から、お聞きしました。メールでも相談していただいてもかまいません。

マナちゃんママもがんばりました。