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犬、猫の病気(腫瘍:猫の乳がん)

 少しでも早く異常を見つけるために、以前から癖で、ネコちゃんのワクチン、定期健診に来た時には、触らせてくれるネコちゃんのお腹側全体の皮膚、皮下をまんべんなく触っています。

この1ヶ月の間に3頭の猫ちゃんの診察中に乳腺部のしこりを確認しました。細胞診にて、乳腺細胞が確認され、乳腺腫瘍を疑いました。(下はミケ猫さん、クロネコさんの子たちです。灰色猫さんもいましたが、載せていません。)

(この黒い猫さんはとてもシャイな猫ちゃんです。今まで飼っていた子たちの1匹に瓜二つです。今まで、飼って見送った猫ちゃんの総数を数えたら、びっくりしましたが、32匹もいました。)

 

飼い主さん達には、猫の乳腺腫瘍は悪性が多く、腫瘤が大きくない場合は、手術で乳腺片方もしくは両側全摘+脇、鼠経リンパ節郭清で生存期間が長くなることと、治療しない場合は長生きできない可能性と、しこりが破けて痛い思いを負わせてしまう可能性をお話しました。しばらくしてから、3人の飼い主さんから、手術を選択されるお電話をいただいて、即日に1頭は乳腺片側全摘手術、2頭のネコちゃんは今後の予防に両側全摘手術をおこないました。

3頭ともに、乳腺癌で、1頭のネコちゃんは、2個の乳腺に発生しました。3頭ともに、リンパ節転移、遠隔転移も認められませんでした。2頭のネコちゃんは、術後再発防止のため、抗がん剤を実施しています。経過は現在良好です。

ネコの乳がんはしこりの大きさで予後、生存期間に違いがあります。しこりの大きさも2〜3cm未満の場合は2ー3年、大きさが2~3cm以上で平均生存期間は半年ぐらいになります。そのため、飼い主さんが見つけた時には腫瘍が大きく、進行している場合が多いです。

 

猫の乳腺腫瘍は4000頭に1頭の確率で発生します。未避妊猫ちゃんの発生率は避妊手術済みの猫ちゃんよりも高く、99%を占めます。避妊手術を受ける年齢で発生率が異なり、生後6か月未満で避妊手術を行うと、受けていない猫ちゃんの10分の1の発生率になります。生後2年以降に避妊手術を行った猫ちゃんは、避妊していない子と乳腺腫瘍になる確率は変わりません。生後6か月未満での避妊手術は、乳腺腫瘍の予防につながります。避妊手術は卵巣と子宮を摘出する手術で、5〜10分ぐらいで終わり、傷も1cmぐらいなので、術後はエリザベスカラー、術着も付けずに、ストレスなくネコちゃんは通常と同じ生活が送れるので、避妊手術は早めにしたほうが、ネコちゃんの負担が少ないですよ。(下の写真は避妊術後でネコちゃんは麻酔で寝ています。)

避妊手術は上の注射器の先ぐらいの傷ぐらいで済むので、とても回復が早いです。

 

私は6年前に、口内炎の治療中に偶然見つけて乳腺を全部摘出手術+抗がん剤を1年間行って、現在完治してますニャン。姉妹猫も罹っていたニャン。他のネコ家族でも母猫、姉妹猫と3頭以上なるケースがあったニャン。姉妹に罹っているネコちゃんがいたら、罹りやすいニャン。

この子みたいに、5年以上前に乳がんに罹って、治療して、再発転移なく、良好な経過を得られている子が現在、複数います。15歳以上の子ばかりですけど。

早期発見の場合は、乳腺全摘、術後化学療法で完治も望める病気ですよ。